洋行帰りの彼であるから彼の地でジッコンを重ねた役人もあって、新十郎の知りたい事を調べてもらうには便利であったが、ロッテナム夫人、ならびにその従者の来朝帰国については、それについては当然何かの消息が知りうる筈のところに、ただの一行も記録したものがなく、それについて報告をうけたことも、上司から調査を命じられたこともないという。
変名の場合を考えて、似たような婦人を古い記録をはじめコクメイに探してもらったが、まったくそれらしい婦人に就て知ることができなかった。
そこへ彼の親しい友である宇井という外交官が外国の公館員と長い用談を終えて、ようやく姿を現したが、