「慾のせいとも言えないねえ。
皆さん用の寝台は形は小さくとも美しい飾があって、ふッくらとやわらかい絹フトンつきの寝台だが、大伴さまが二階の寝室へあげるのを手伝ってくれと仰有って、私が三本指の黒ン坊に手をかして二階の寝室まで運びこんだのは上から下まで木でできた箱のような寝台さ。
外から見れば棺桶を何倍も大きくしたような薄汚いものだが、美人になりたい一心のために、あの棺桶に寝るという御婦人方の気持ばかりはおどろき入ったものだてなア」
「慾のせいとも言えないねえ。
皆さん用の寝台は形は小さくとも美しい飾があって、ふッくらとやわらかい絹フトンつきの寝台だが、大伴さまが二階の寝室へあげるのを手伝ってくれと仰有って、私が三本指の黒ン坊に手をかして二階の寝室まで運びこんだのは上から下まで木でできた箱のような寝台さ。
外から見れば棺桶を何倍も大きくしたような薄汚いものだが、美人になりたい一心のために、あの棺桶に寝るという御婦人方の気持ばかりはおどろき入ったものだてなア」