同じ軒の下に住んではいても、口一ツ利くわけでもなし、お早うを言うでもなし、ツキアイは一切やらず、美人術の連中が通る廊下をこの私は歩くワケにいかねえのだから、同じ軒の下でやってる筈の美人術のことなんぞも道路の方から邸の方を見て通る通行人と同じぐらいしか知りやしねえや。
しかし、階下の使用しか許されていないロッテナム夫人が大伴さまの侍女たちと二階の寝室へトントンとでかけることがチョク/\あったようだから、大伴さまが特別の美人術をうけていたのはウソではなかろう」
「ロッテナム夫人が立ち去るときには、大伴夫人の個人用の手術台まで持去ったのかね」