これからが分別盛りで、手腕の揮いどころという大切なところであるが、彼は主家の娘トミ子を妻に与えられ、今までの浅からぬ主従関係はさらに血族の縁に深まり、末代まで主家の屋台骨を背負う重任を定められたのであった。
これも一ツには彼の父が二心なき番頭として今日の主家の屋台骨を築くに尽した功績の大いさにもよるのであったが、また一ツには、トミ子が生来の病弱で、他家に入って主婦の重任を尽しがたいせいもあったのだ。
トミ子は重二郎に嫁して、父や良人の心づくしの我ままな結婚生活に恵まれながらも、二児を遺して死んだ。