「他に一人だけ、たしかに、私が口外いたしました。
私の一子で、杉山一正と申します。
手紙とお金との引き換えの使命を無事果すのが不安のために倅に同行護衛をもとめたのが事の起りですが、わが子の自慢とお笑いかも知れませんが、親の慾目ながらも、これにまさる頼もしい男の心当りもなく、秘密をうちあけて裏切ることのない心当りの者も他にないと思い定めたすえに、生活の幅も目の届く幅もせまい女の判断ではありますが、わが子一正にだけは秘密のあらましをうちあけてしまったのです。
「他に一人だけ、たしかに、私が口外いたしました。
私の一子で、杉山一正と申します。
手紙とお金との引き換えの使命を無事果すのが不安のために倅に同行護衛をもとめたのが事の起りですが、わが子の自慢とお笑いかも知れませんが、親の慾目ながらも、これにまさる頼もしい男の心当りもなく、秘密をうちあけて裏切ることのない心当りの者も他にないと思い定めたすえに、生活の幅も目の届く幅もせまい女の判断ではありますが、わが子一正にだけは秘密のあらましをうちあけてしまったのです。