なぜなら、表向き勘当ながら内容が次第にそうでないことを能文は心得ている筈だからです。
まず何よりも、加十の行方不明に対して親身のものにせよ事務的なものにせよ心配を一ツも見せないことが、この男の身分としては更に異様ですね。
私が石松の折ヅメを貰った婦人に期待した返答も、これと同じことを裏附ける事実、つまり放蕩者の石松がだらだら酒をのんだり泊ったりで、バラバラ作業のヒマがありッこなかったという裏附けだったのでしたが、生憎この婦人はタケノコ料理に興味がない超人でしたから、折ヅメをもらった特定の一日にてんで記憶がなかったのです。