二人は南京街の支那料理屋で五六品のテーブルを食べましたが、食事の間中、トオサンは自分からは一言も物を云いませんでした。
そればかりでなく、箸を使うのまでが怖しく不器用になって、はさんだ料理をしきりに皿の上だのテーブルの上へ落してイライラし、とうとう汗をかきはじめて、目をこすったり頭をこすったりするものだから、小夜子サンも見ていられなくなったそうです。
そこで自分のお箸に料理をつまんで、
二人は南京街の支那料理屋で五六品のテーブルを食べましたが、食事の間中、トオサンは自分からは一言も物を云いませんでした。
そればかりでなく、箸を使うのまでが怖しく不器用になって、はさんだ料理をしきりに皿の上だのテーブルの上へ落してイライラし、とうとう汗をかきはじめて、目をこすったり頭をこすったりするものだから、小夜子サンも見ていられなくなったそうです。
そこで自分のお箸に料理をつまんで、