仙七の妻女は二年前に死んだが、そういう時世ではないからと云って葬式もだしてやらなかった。
もっとも、勝美、ミドリ、糸子の姉妹三人はそれには至極賛成で、愛情のない葬式なんかださない方がよい、お体裁にナムアミダブツなぞ唱えるのは却って不潔でいやらしいという説であったが、一寸法師の辰男だけが不満不服をもらしたのは母に愛情が強かったせいであろう。
母は一寸法師が宿の客ひきをして大荷物をブラさげてよたよたしているのを気の毒がっていた唯一の家族だったからである。
仙七の妻女は二年前に死んだが、そういう時世ではないからと云って葬式もだしてやらなかった。
もっとも、勝美、ミドリ、糸子の姉妹三人はそれには至極賛成で、愛情のない葬式なんかださない方がよい、お体裁にナムアミダブツなぞ唱えるのは却って不潔でいやらしいという説であったが、一寸法師の辰男だけが不満不服をもらしたのは母に愛情が強かったせいであろう。
母は一寸法師が宿の客ひきをして大荷物をブラさげてよたよたしているのを気の毒がっていた唯一の家族だったからである。