いや、それがさ、木の胯へうまいぐあいに乗っかってみると、その木にいっぱい平茸が生えているのだ、見すてるわけに行かぬから手のとどくところはみんな取って旅籠につめたが、手のとどかぬところにはまだいっぱい残っている。
旅籠につめたのなどはまことにただの一部分で、いやはや、何とも残念だ、実にどうもひどい損をしてきた、心残り千万な、といまいましがっている。
郎党どもが笑って、命が助かっておまけにいくらかでも平茸をついでにとって損などとは、と言うと、殿様が叱りつけて、馬鹿を言うものではないぞ、宝の山へ這入って空しく引上げる者があることか受領(国司)は至る所に土をつかめと言うではないか、と言ったそうだ。