こうして俺、聖なる呑んだくれは、武蔵野の木枯が真紅に焼ける夕まぐれ足を速めて酒倉へ急ぐのだが――すると酒倉の横っちょには素っ裸の柿の木が一本だけ立っているのだ(君は勿論知るまいが――)。
この柿は葉が落ちても柿の実の三つ四つをブラ下げて、泌むような影を酒倉の白壁へ落しているのだが――俺は毎日このまっかな柿の実へ俺の魂を忘れて、ふいと酒倉へもぐるのだ――と、こう思うのがせめても俺の口実なんだ。
だから俺は安心して、あれとこれとは別物だけれど、まるで魂を注ぐように、酒樽にとびかかると、ぐいぐいぐいぐいと酒を魂を呑んじまうんだあ!