クサの繁みに一きわ白くそびえ立つ円塔は、あれは聖なる卒塔婆であろうかと目をすえると――ああ、これは背亀坐を組む行者のグロテスクな尻であったから、俺は思わず敬虔なる心をさえ起すところであったのだ。
もしや婆羅門の「いらつめ」「いらつこ」が古い日本の嬥歌さながらに木々を縫うていはしまいかと奥深く杜をうかがったのだけれど、渡るものは風ばかりで、それでも気のせいか、何か遠くさんざめく物声にもききとれた。
見るほどに、見渡す限り樹々を渡る、風の冴えた沈黙ばかりだ。
クサの繁みに一きわ白くそびえ立つ円塔は、あれは聖なる卒塔婆であろうかと目をすえると――ああ、これは背亀坐を組む行者のグロテスクな尻であったから、俺は思わず敬虔なる心をさえ起すところであったのだ。
もしや婆羅門の「いらつめ」「いらつこ」が古い日本の嬥歌さながらに木々を縫うていはしまいかと奥深く杜をうかがったのだけれど、渡るものは風ばかりで、それでも気のせいか、何か遠くさんざめく物声にもききとれた。
見るほどに、見渡す限り樹々を渡る、風の冴えた沈黙ばかりだ。