穴の入口の朝顔を鉢植えにし鉄骨ビルの窓へうつすことも、また穴へ戻って入口に植えかえることも、それを無碍の境地で行い、苦もなく安住する悟道が天性的に備わっているが、それを支えているものは、すみやかに忘れるという天与の健忘症によるのであろう。
風流の奥儀の重大な一項目、一教訓には、すみやかに忘れよ、とあるに相違ない。
しかし、この戦争の惨禍を、こうすみやかに忘却の淵へ沈めこむほど万人が風流の奥儀に通達していることを、私はとうてい事前に信じることができなかったのである。
穴の入口の朝顔を鉢植えにし鉄骨ビルの窓へうつすことも、また穴へ戻って入口に植えかえることも、それを無碍の境地で行い、苦もなく安住する悟道が天性的に備わっているが、それを支えているものは、すみやかに忘れるという天与の健忘症によるのであろう。
風流の奥儀の重大な一項目、一教訓には、すみやかに忘れよ、とあるに相違ない。
しかし、この戦争の惨禍を、こうすみやかに忘却の淵へ沈めこむほど万人が風流の奥儀に通達していることを、私はとうてい事前に信じることができなかったのである。