「合邦」の「合邦内の段」というものであったらしい。
いったい、合邦という物語は面白いものではない。
玉手御前(という名前であったかしらん――)が義理の息子と不義をして館を出奔する、或夜悄然と父合邦の侘び住居へ辿りついてくるところから芝居は初まったが、娘の不行跡に懊悩混乱した父合邦が、返事一つでは殺害もしかねない詰問の下で、毅然として恋を棄てようとしない思いせまった娘の様子は、人形の演戯も神品であって甚しく私を感動せしめたものである。
「合邦」の「合邦内の段」というものであったらしい。
いったい、合邦という物語は面白いものではない。
玉手御前(という名前であったかしらん――)が義理の息子と不義をして館を出奔する、或夜悄然と父合邦の侘び住居へ辿りついてくるところから芝居は初まったが、娘の不行跡に懊悩混乱した父合邦が、返事一つでは殺害もしかねない詰問の下で、毅然として恋を棄てようとしない思いせまった娘の様子は、人形の演戯も神品であって甚しく私を感動せしめたものである。