結局卒業してしまふまで、「あります」「あなた」といふやうな敬語を用ひ、相手がうるさくて堪へられない時や酒のうへなぞでは、別段怪しみもせずぞんざいな言葉を、その時だけは極めて自然に使ひ合つたりしてゐた。
龍然はとりわけて才のある男でもなく、一見さう見える通り、実際もごく平凡な好人物であるやうにしか考へられなかつた。
取柄といへば、意地の悪いところをまるで持たないことと、田舎者じみてゐるくせに、都会的な感覚なり見解なりを、平凡ではあるがしかし本質的に持ち合せてゐたことだつた。
結局卒業してしまふまで、「あります」「あなた」といふやうな敬語を用ひ、相手がうるさくて堪へられない時や酒のうへなぞでは、別段怪しみもせずぞんざいな言葉を、その時だけは極めて自然に使ひ合つたりしてゐた。
龍然はとりわけて才のある男でもなく、一見さう見える通り、実際もごく平凡な好人物であるやうにしか考へられなかつた。
取柄といへば、意地の悪いところをまるで持たないことと、田舎者じみてゐるくせに、都会的な感覚なり見解なりを、平凡ではあるがしかし本質的に持ち合せてゐたことだつた。