龍然が片手にクルクル振り廻してゐたものは、も一つの草鞋であつた。
彼はそれを凡太に履かせて、二人は其処から十里ばかりの山路を歩くのである。
人の気配のさらに無い山路に尨大な孤独を噛みしめながら、谷風に送られて縹渺と喘ぐことを、凡太はむしろ好んでゐた。
龍然が片手にクルクル振り廻してゐたものは、も一つの草鞋であつた。
彼はそれを凡太に履かせて、二人は其処から十里ばかりの山路を歩くのである。
人の気配のさらに無い山路に尨大な孤独を噛みしめながら、谷風に送られて縹渺と喘ぐことを、凡太はむしろ好んでゐた。