二人が黒谷村の峠まで辿りついたとき、もう黄昏も深かつた。
熊笹の中から頸だけを延して顧れば、今来た路は幾重もの山波となつて、濃い紫にとつぷりと溶けてゆくのが見えた。
山に遠く蜩の沈む音をききながら峠を降ると、路は今迄とはまるで別な平凡な風景に変つてきた。
二人が黒谷村の峠まで辿りついたとき、もう黄昏も深かつた。
熊笹の中から頸だけを延して顧れば、今来た路は幾重もの山波となつて、濃い紫にとつぷりと溶けてゆくのが見えた。
山に遠く蜩の沈む音をききながら峠を降ると、路は今迄とはまるで別な平凡な風景に変つてきた。