丁度夜がとつぷり落ち切つた頃、二人は村端れの居酒屋を潜つて、意外に安価な地酒を掬んだ。
二階の窓を開け放すと裏手にはすぐ谷川で、たしかに深い山らしい涼しさが、むしろ膚に寒寒と夜気を運んできた。
遠くから又遠い奥へ鳴り続いてゐる谷川のせせらぎを越して、いきなり空へ攀ぢてゐる山山の逞ましい沈黙が、頭上一杯に圧しつけて酒と一緒に深く滲みてくるのだつた。
丁度夜がとつぷり落ち切つた頃、二人は村端れの居酒屋を潜つて、意外に安価な地酒を掬んだ。
二階の窓を開け放すと裏手にはすぐ谷川で、たしかに深い山らしい涼しさが、むしろ膚に寒寒と夜気を運んできた。
遠くから又遠い奥へ鳴り続いてゐる谷川のせせらぎを越して、いきなり空へ攀ぢてゐる山山の逞ましい沈黙が、頭上一杯に圧しつけて酒と一緒に深く滲みてくるのだつた。