凡太は一日、山の段々畑をいくつか越えて何気なく足を速めて逍遥してゐると、穂の間から上半身をあらわした若い農婦がだしぬけに顔をあげて、健康な(HALLOO!)を彼の背中へ叫びかけた。
凡太は丁度山嶺に片足を踏みかけてゐたので、ふりかへると遠くはるかな風景が、その中へ農婦の姿をも点描して深々と目にしみてきた。
彼は壮快を感じて元気一杯な(HALLOO!)を返しながら山の裏側へ消え込んでしまつたが、考へてみると一つ足りない気持があつた。
凡太は一日、山の段々畑をいくつか越えて何気なく足を速めて逍遥してゐると、穂の間から上半身をあらわした若い農婦がだしぬけに顔をあげて、健康な(HALLOO!)を彼の背中へ叫びかけた。
凡太は丁度山嶺に片足を踏みかけてゐたので、ふりかへると遠くはるかな風景が、その中へ農婦の姿をも点描して深々と目にしみてきた。
彼は壮快を感じて元気一杯な(HALLOO!)を返しながら山の裏側へ消え込んでしまつたが、考へてみると一つ足りない気持があつた。