さう言はれてみれば、ある日のこと、尾根伝ひに国境へ通ふ風景の良い路で、蕨を乾してゐる娘から明らかに秋波を送られた経験もあつた。
その後凡太は、色々の場所に色々な様式で、之と同じ事情に幾度となく遭遇した。
しかしそれは、猥褻と呼ぶには当らない、むしろ透明とか悠久とか、そんな漠然とした親密な名辞で呼ぶにふさわしい程凡太の胆に奥深く触れて来るものがあつた。
さう言はれてみれば、ある日のこと、尾根伝ひに国境へ通ふ風景の良い路で、蕨を乾してゐる娘から明らかに秋波を送られた経験もあつた。
その後凡太は、色々の場所に色々な様式で、之と同じ事情に幾度となく遭遇した。
しかしそれは、猥褻と呼ぶには当らない、むしろ透明とか悠久とか、そんな漠然とした親密な名辞で呼ぶにふさわしい程凡太の胆に奥深く触れて来るものがあつた。