一体位牌そのものの出現が孤独を満喫してゐる凡太にとつて少なからぬ神秘であつたのに、以前彼は龍然からこの寺の先住に就て妙な話をきかされてゐた。
それは一応噴飯に価する無稽な話に思はれたが、笑ふ相手もなく孤りでゐるこの時には、別に滑稽味もなく素直に先住の面影が浮んできた。
それ故凡太は、噴き出すこともせずに、こんなしかつべらしい端坐を組んで誦経をやり出したのであつた。
一体位牌そのものの出現が孤独を満喫してゐる凡太にとつて少なからぬ神秘であつたのに、以前彼は龍然からこの寺の先住に就て妙な話をきかされてゐた。
それは一応噴飯に価する無稽な話に思はれたが、笑ふ相手もなく孤りでゐるこの時には、別に滑稽味もなく素直に先住の面影が浮んできた。
それ故凡太は、噴き出すこともせずに、こんなしかつべらしい端坐を組んで誦経をやり出したのであつた。