町へ出る度に、茹蛸を仕入れて帰るのが楽しみであつたが、一日、まるまるとした入道を仕入れたので満悦して山門をくぐつた。
その夜も賭博があつて、和尚は焦燥を殺してゐたが、夜が白んで一同全く立去つてしまふと大いに満足して庫裏へ出掛けて行つた。
さて、がたがたと鳴る重い戸棚をやうやくに開けて、ぼやけた雪洞をふと差し入れて見たところが、棚の片隅にぴつたりと身を寄せて、まるまるとした茹蛸は大変まぢめな顔をして自分の足をもぐもぐ喰べてゐる最中であつた。
町へ出る度に、茹蛸を仕入れて帰るのが楽しみであつたが、一日、まるまるとした入道を仕入れたので満悦して山門をくぐつた。
その夜も賭博があつて、和尚は焦燥を殺してゐたが、夜が白んで一同全く立去つてしまふと大いに満足して庫裏へ出掛けて行つた。
さて、がたがたと鳴る重い戸棚をやうやくに開けて、ぼやけた雪洞をふと差し入れて見たところが、棚の片隅にぴつたりと身を寄せて、まるまるとした茹蛸は大変まぢめな顔をして自分の足をもぐもぐ喰べてゐる最中であつた。