由良のぺらぺらと流れる癇高い声を聴きながら、彼はしかしこのふくよかな肉附を持つた女が、粗雑な言葉とは全く逆に妙に古風な瓜核顔をしてゐること、それは古い絵草紙の人物のやうな一種間の抜けたおとなしささへ表はしてゐること、かなり酒に酔ひ痴れてゐること等を一纏めに感じ当ててゐた。
凡太はどうしたはずみか、大変まぢめに端座して「僕は気狂ひではありません」とごもごも答へてからはぢめて我に返つたが、女はその声にはまるで構はず、左手をまずべつとりと床板につき下して重心をそこへ移しながら、崩れるやうに腰を落して両足を投げ出した。
「今晩は。