興奮することを知らない男かと言へば、それは断じてさうでない、ただ、大いに激昂して叫喚乱舞に耽溺してゐる最中に、興奮してゐることそれに就て波のやうな退屈を感得し、落胆してしまふのであつた。
由良の肢体はだらしなく床板の上に寝そべつてゐたが、凡太の丹誠によるほのかな燈明のおかげで、幸ひそれは人魚のやうに可憐に縹渺として童話風な恋情をそそつた。
凡太は腕を拱いて空間を凝視してゐたが、やがて波のじつとりと落ちた広い広い海原に、倉皇と海面を走る遥かな落日を、その皮膚にすぐ近くひたひたと感じはぢめてゐた。
興奮することを知らない男かと言へば、それは断じてさうでない、ただ、大いに激昂して叫喚乱舞に耽溺してゐる最中に、興奮してゐることそれに就て波のやうな退屈を感得し、落胆してしまふのであつた。
由良の肢体はだらしなく床板の上に寝そべつてゐたが、凡太の丹誠によるほのかな燈明のおかげで、幸ひそれは人魚のやうに可憐に縹渺として童話風な恋情をそそつた。
凡太は腕を拱いて空間を凝視してゐたが、やがて波のじつとりと落ちた広い広い海原に、倉皇と海面を走る遥かな落日を、その皮膚にすぐ近くひたひたと感じはぢめてゐた。