歩き出してみると、凡太の杞憂したほど由良の歩行は乱れてゐなかつた。
風は死んでゐたが、夜気そのものが冷え冷えと膚に迫つて、その度に冥想すべき何等かの思考力を植え落してゆくもののやうな、沈鬱な過程が感ぜられた。
橄欖寺の裏手から墓地を抜けると、杉並木の嶮しい間道がものの四五丁もして、やがて鬱蒼と山毛欅の林に囲まれた金比羅大明神へ続くのであつた。
歩き出してみると、凡太の杞憂したほど由良の歩行は乱れてゐなかつた。
風は死んでゐたが、夜気そのものが冷え冷えと膚に迫つて、その度に冥想すべき何等かの思考力を植え落してゆくもののやうな、沈鬱な過程が感ぜられた。
橄欖寺の裏手から墓地を抜けると、杉並木の嶮しい間道がものの四五丁もして、やがて鬱蒼と山毛欅の林に囲まれた金比羅大明神へ続くのであつた。