ぼんやりと浮かび出てゐる薄ら赤い明りから人群の大部分はむしろはみ出しており、外側からは無論見えない樽太鼓を中に、村の衆は男女を問はず広い花笠に紅色の襷をかけて、唄ともつかぬ盆唄を祈祷のやうに呟きながら、単調な円舞を踊つてゐた。
それは実際 der Reigen と呼ぶにふさわしいものであつた。
九月にはもう劇しい雨雲の往来、やがて山といふ山の木木に葉といふ葉が落ちつくして、裸の枝ばかり低い空一面に撒きちらされた山を、いそがしく落葉をたたいて時雨が通る、十一月も終る頃にはもはやとつぷりと雪に鎖されて、年かわり、山の曲路に煤けた吹き溜りの雪がやうやく蒼空に消え失せるときはもう五月、明るい空を山一杯にほつと仰ぐともう夏の盛りが来てゐた。