やがて夜が一段と更けて、壁の中から何か古臭い沈黙が湧いて出るやうな気配を、幾度となく感じはぢめる時刻になつてゐた。
――そのうちに、女中も踊りから帰つて、賑やかな足取りを金比羅山の山つづきのやうに土間の中へ躍り込ませて来たが、すると、直ぐそのうしろからのこのこと頸を突き入れた小男を見て、凡太は愕然とした。
それは疑ひもなくあの女衒で。
やがて夜が一段と更けて、壁の中から何か古臭い沈黙が湧いて出るやうな気配を、幾度となく感じはぢめる時刻になつてゐた。
――そのうちに、女中も踊りから帰つて、賑やかな足取りを金比羅山の山つづきのやうに土間の中へ躍り込ませて来たが、すると、直ぐそのうしろからのこのこと頸を突き入れた小男を見て、凡太は愕然とした。
それは疑ひもなくあの女衒で。