帰着してみると、当然暗闇であるべき筈の離れには一面にありありと燈りの白さが映えてゐて、流石に凡太の泥酔した神経にもこれはおかしいと思はれたが、しかし見廻すにただ白々と其処に広さがあるばかり、人影はたしかに無い、いや、在つた、机の上に豪然と安坐して、一房のバナナが部屋一杯の蕭条とした明るさを睥睨してゐた。
言ふまでもなく由良の仕業に相違あるまい、凡太は堅く腕を組んで、暫くぢつとバナナの不敵な面魂を睨んでゐたが、腕をほぐすとゐざり寄つて、またたくうちに一つ残さず平らげてしまつた。
翌日龍然は車に送られて帰つて来た。