「それはさうだらうね。
君の場合には棲む場所が直接この強烈な建築だから、だからつまり建築を対象にしてさう感じてしまふのだらうけど、僕の生活には建築なんぞ大した関係を持たないから、何か漠然とした一つの全体を対象として……」
凡太は同感してそんなことを言ひかけたが、議論の対象そのものが茫漠として所詮は一生の十字架であり、口に乗せて弄ぶのも無役であると思はれたので、さつさと口を噤んで沈黙してしまつた。
「それはさうだらうね。
君の場合には棲む場所が直接この強烈な建築だから、だからつまり建築を対象にしてさう感じてしまふのだらうけど、僕の生活には建築なんぞ大した関係を持たないから、何か漠然とした一つの全体を対象として……」
凡太は同感してそんなことを言ひかけたが、議論の対象そのものが茫漠として所詮は一生の十字架であり、口に乗せて弄ぶのも無役であると思はれたので、さつさと口を噤んで沈黙してしまつた。