彼はただ、彼自身の立場としては全てを漠然と感じればそれでよい、それを単に言葉に表はして憂鬱なる一時をさらに憂鬱にすることは退屈以外の何物でもあり得ない――実際それは退屈以外の何物でもなかつたから、その時も彼はいそいで口を噤むと、もはや別の事をぼんやり考へはぢめて、一体全体そもそもこの龍然と呼ぶどんよりとした坊主が、通夜の席上で啖呵を切つたといふ耳よりなゴシップは果して真実であるのか、と、そんなことにひどく興味を持ち出してゐた。
「いつたい、君が大いに啖呵を切つたといふのは、ほんとうの話かね?
「それはほんとうの話さ。