凡太は何とも言へぬ寂漠を感じて、君、足は痛まないのかと訊いてみるにも言葉はもはや不用なものに考へられ、胎内に充満してくる空虚を味得した。
もう山は秋が深い。
それは、昼の明るさが尚寂寥に堪えがたくて、ひたすら死滅へ急ぐもののやうにしか考へられぬ蝉の音の慌ただしさや、已にいそがわしく遠い空に走り初めた幾流れもの雲や、そしてぽつかりと空洞に落ちたこの明るさ――ひとまづこれで、ぱつたりと杜絶する生活力の断末魔が山といふ山に、路に、藁屋根に、目に泌みるリズムとなつて流れてゐる。
凡太は何とも言へぬ寂漠を感じて、君、足は痛まないのかと訊いてみるにも言葉はもはや不用なものに考へられ、胎内に充満してくる空虚を味得した。
もう山は秋が深い。
それは、昼の明るさが尚寂寥に堪えがたくて、ひたすら死滅へ急ぐもののやうにしか考へられぬ蝉の音の慌ただしさや、已にいそがわしく遠い空に走り初めた幾流れもの雲や、そしてぽつかりと空洞に落ちたこの明るさ――ひとまづこれで、ぱつたりと杜絶する生活力の断末魔が山といふ山に、路に、藁屋根に、目に泌みるリズムとなつて流れてゐる。