水へ這入るのはごく稀なことで、大方は小供達にボクシングの型を教へたり、輪になつて踊つたり、跳躍や競走の試合をしたりさせたりしてゐるのです。
窓下の砂浜に点と化したそれらの人影は八方へ散乱し、又ある時は、遠浅の沖へ沖へと進んでゆく喚声が遠近を明瞭に暗示しながら海風に送られてこの窓へ鳴りわたつて来たり……私は窓から頸を出して、ひねもすそれを眺めてゐるのです。
日が落ちると、緋奈子は疲労してこの部屋へ立ち戻つて来るのですが、楽しい遊びの続きのやうに、夜の部屋でも独り悦ばしげにはしやぎ廻つて、私を眼中に置かないのです。