やがて或日、其の緊張に極点が来て止む無く緊張それ自身を破裂せしめる時がある、その時僕はどう成つて何処へ行くのか、それも僕には分らない。
僕は毎日怒つたやうな、妙に切迫した怖い顔を結んで、極く稀に、ふとした機勢でしか笑ひ出すことが出来なかつた。
誰の物とも思へない不思議に低い笑声が、僕の喉から可笑しなハズミで転げ出て行く、僕は慌てて口を開けるが、喉を駈け出る笑ひの煽りは北風のやうに冷く白い、壁に虚しく木霊した空洞な音はまるで凋んだ風船のやう、部屋の中空をフワフワと浮いて、閉ざし忘れた僕の口へ波紋を描いて戻つて来る、僕は頬つぺたを膨らませて、物も思はず、それをモクモク呑み干してしまふ。