船は港を出やうとして、やるせない程遅鈍な緩さに半廻転を試みてゐた。
岩壁から長々と沖へ彎曲した太い航跡に泡も消えて、流されてゆく波紋の頭に時々白い空が揺れた、小さな船が、広い航跡を横切つてゆく。
「アアア、あたし何処かへ飛んで行きたい、知らない国へ、ひとりぽつちで旅をしたいわ……」
船は港を出やうとして、やるせない程遅鈍な緩さに半廻転を試みてゐた。
岩壁から長々と沖へ彎曲した太い航跡に泡も消えて、流されてゆく波紋の頭に時々白い空が揺れた、小さな船が、広い航跡を横切つてゆく。
「アアア、あたし何処かへ飛んで行きたい、知らない国へ、ひとりぽつちで旅をしたいわ……」