僕は今、豪然として船に乗り込む、サロンの丁度中程の、僕は豪華な肱掛椅子に腰を埋めて、部屋の主人であるやうな傲慢無礼な様をしながら、銅羅の鳴るまで身動もしない。
一人の旅人を取り囲んだ見送人の組組が、一ツ又一ツ僕の鼻先を往来し、稀には僕の肩のあたりに暫く群れて動かずに、ややあつて去る一団もあつた。
ときたま二三の人々が僕の姿をふと見出して、咄嗟に声を落してしまふが、間もなく群の空気に紛れて、僕を忘れて行つてしまふ、僕はただ、笑ひもせずに、それを見てゐる。
僕は今、豪然として船に乗り込む、サロンの丁度中程の、僕は豪華な肱掛椅子に腰を埋めて、部屋の主人であるやうな傲慢無礼な様をしながら、銅羅の鳴るまで身動もしない。
一人の旅人を取り囲んだ見送人の組組が、一ツ又一ツ僕の鼻先を往来し、稀には僕の肩のあたりに暫く群れて動かずに、ややあつて去る一団もあつた。
ときたま二三の人々が僕の姿をふと見出して、咄嗟に声を落してしまふが、間もなく群の空気に紛れて、僕を忘れて行つてしまふ、僕はただ、笑ひもせずに、それを見てゐる。