一人の旅人を取り囲んだ見送人の組組が、一ツ又一ツ僕の鼻先を往来し、稀には僕の肩のあたりに暫く群れて動かずに、ややあつて去る一団もあつた。
ときたま二三の人々が僕の姿をふと見出して、咄嗟に声を落してしまふが、間もなく群の空気に紛れて、僕を忘れて行つてしまふ、僕はただ、笑ひもせずに、それを見てゐる。
僕の悪い風態が、時々僕を交番や、密行の刑事達に誰何させた。
一人の旅人を取り囲んだ見送人の組組が、一ツ又一ツ僕の鼻先を往来し、稀には僕の肩のあたりに暫く群れて動かずに、ややあつて去る一団もあつた。
ときたま二三の人々が僕の姿をふと見出して、咄嗟に声を落してしまふが、間もなく群の空気に紛れて、僕を忘れて行つてしまふ、僕はただ、笑ひもせずに、それを見てゐる。
僕の悪い風態が、時々僕を交番や、密行の刑事達に誰何させた。