坂口安吾 『海の霧』 「ウン……俺は大丈夫なんだ――」 駅の屋根を出切るとき、鮎子は僕を置き去るやうに、激しく息を呑みながら、スタスタと雨脚の中へ駈け込んで行つた。 僕は雨具の用意を持たない、僕はドシャ降りの煙を浴びて、鮎子の背筋を噛むやうに追ふた。 坂口安吾の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア