と一本の真空を描いて僕の胸に絡みつき、鼻をグリグリと捩ぢあげてしまふのだ。
ところで又、学校で、博士のクラスへ出席する程僕に悲惨な境遇はなかつたのだ。
このクラスでは僕のみ唯一人が学生であつたから、厭でも前列の中央へションボリ坐らねばならなかつたが――博士は教卓の陰へ危ふく沈没しさうな矮躯のくせに厭に傲然と腕を組み、実に陰険に僕をヂロリと睨まへて「学校へ出席する学生は余程低能な奴である」とか「気の利いた学生は街から街を流して歩いて学校へは出ないものだ」なぞと皮肉り乍ら、凡そあらゆる恐喝の限りを尽すのである。