鋭い絶叫をわづかに一つ置き残したかと思ふと、もはや遥かな抛物線を遠い草原の彼方へまで描き乍ら、窓を一線に貫き通しチラチラと麗らかな光線を浴びて、まつしぐらに飛び去つて行く有様が見えた。
みんなドキンとして振り返つたら、輪廓の綺麗な年若い麗人が入口にスラリと佇んで内側を厳しく睨んでゐたが、一発ズドンと天井へブッ放すやいなや、これもサッと草原の彼方へ博士を追ふて飛び去つてしまつた。
長いこと、みんな腕組みをして頻りに何か考へてゐるフリをしてゐたが、やがてソッと窓から首を突き出して眺めてみたら、豆粒くらいにしか見えない遠い遠い草原の上で、ミミ夫人に掴まへられた霓博士は蹴られたり殴られたり土肌へツンのめされたりしてゐた。