その人は悄然として俯向き乍らトボトボと歩いて来るが、その人の背に展けた一線の野道は、遥遥と遂ひに小さな一点と化し凋んで果つる所まで何物の姿をも他に印してゐなかつた。
与里である、その人影は。
駄夫は幾分意外を感じ、路傍に寄り麦の畑に腰を下して与里の近づくのを待つてゐたが、項垂れてボンヤリ歩いてゐる与里は路傍の駄夫に心附かずに数歩向うへ過ぎて了つた。
その人は悄然として俯向き乍らトボトボと歩いて来るが、その人の背に展けた一線の野道は、遥遥と遂ひに小さな一点と化し凋んで果つる所まで何物の姿をも他に印してゐなかつた。
与里である、その人影は。
駄夫は幾分意外を感じ、路傍に寄り麦の畑に腰を下して与里の近づくのを待つてゐたが、項垂れてボンヤリ歩いてゐる与里は路傍の駄夫に心附かずに数歩向うへ過ぎて了つた。