遠い果から広々と野面を渡る長閑な風が送られてきて、足もとの穂を戦がす毎に、ムウンと鈍い昆虫の羽音が一しきり透明な中空へ湧き起つた。
与里は尚ほ、悄然として俯向いたまま歩いてゐたが、何んだか泣いてでもゐるやうな、グショグショ湿つぽい暗さを漂はしてゐた。
「厭んなつちまふ!
遠い果から広々と野面を渡る長閑な風が送られてきて、足もとの穂を戦がす毎に、ムウンと鈍い昆虫の羽音が一しきり透明な中空へ湧き起つた。
与里は尚ほ、悄然として俯向いたまま歩いてゐたが、何んだか泣いてでもゐるやうな、グショグショ湿つぽい暗さを漂はしてゐた。
「厭んなつちまふ!