ところが、一旦笑ひ出してみたところが案外自分は其の事柄を可笑しがつてゐもしない事に心附いたので、止むを得ず途中から笑ひ声をひつそりと改めて了つた、が、思ふに此れを可笑しがらなかつたなら世の中には一笑に価する何物も在る筈がないではないか!
と又むらむらと可笑しくなりだした。
かういふ事柄にでも笑ひ興じてゐなかつたなら此の退屈な一日が暮れさうも無いからさ――と自分乍らさもしい戒めを密かに諭してきかせたのでもあらうが、又愚かな意地からででもあらうか、さういふ妥協をしなくとも何んだか本気で可笑しくて笑ひたくて堪まらないやうに思はれてくるのだ。