厭に胡散な暗闇が奥の方から蠢いてきて耳の辺りへ絡まりつくが、駄夫はフウフウそれを吹いたり深く吸ひ込むやうにしたり、それからジンと耳を澄まして、奥の気配と自分の動悸と二つ一緒に感じ初めた。
その時彼は「御免下さい」と言ふ代りに「お頼み申します、エエ、お頼み申します……」といふ言葉を用ひたのであつた。
案内に応じて、取次の人が立ち現れた。
厭に胡散な暗闇が奥の方から蠢いてきて耳の辺りへ絡まりつくが、駄夫はフウフウそれを吹いたり深く吸ひ込むやうにしたり、それからジンと耳を澄まして、奥の気配と自分の動悸と二つ一緒に感じ初めた。
その時彼は「御免下さい」と言ふ代りに「お頼み申します、エエ、お頼み申します……」といふ言葉を用ひたのであつた。
案内に応じて、取次の人が立ち現れた。