……見るともなしに眼を上げると、駄夫の無意味に撮んでゐた其の薄汚い窓掛は世の常のそれではなくて、メリケン粉の古い袋を切り開いて縦に数枚継ぎ合せた廃物利用の代物らしい、如何にもだらしなくダラリと垂れて、丁度目の向いたあたりに訳の分らぬ商標を読みとることが出来た。
変にいきれた黴臭い布の匂ひがまつはつてきた。
鼻のあたりへヂッと擡げて嗅ぐともなく見るともなしに見たり嗅いだりしてゐたら、激しい嵐の一うねりが今しがた引いたばかりの空虚の中に、まだ引き残りのケチな小癪な突風が小雨を殴り小枝を叩いて間の抜けたフォッと明るい往来の上でシミッタレな小騒ぎをたててゐた。