駄夫はソッと窓掛を手離して再び寝床へ帰着すると、忽ちグッタリ仰向けに寝倒れたまま空洞な眼を閉ぢもしないで、次から次、次から次へと取り止めもない物の像を額へ運んだ、全く何等の意識もなしに。
……そして漸く我に返つて、埃つぽい白けた温気を蹴散らすやうに勇ましく、ところが矢張り悄々として兎も角然し間違ひもなく跳ね起きはして、ふやけた寝床を片附けてゐたら、又してもあの高いうねりがひどい凄さで縹渺と荒れつのりつつ一際鋭く押寄せて来た。
そしていきなり次の瞬間には家の脾腹に打ち砕けて、駄夫諸共に揺すぶりながら裏手一帯の竹藪に舞ひ狂ふのがきこえてゐた。