……そして漸く我に返つて、埃つぽい白けた温気を蹴散らすやうに勇ましく、ところが矢張り悄々として兎も角然し間違ひもなく跳ね起きはして、ふやけた寝床を片附けてゐたら、又してもあの高いうねりがひどい凄さで縹渺と荒れつのりつつ一際鋭く押寄せて来た。
そしていきなり次の瞬間には家の脾腹に打ち砕けて、駄夫諸共に揺すぶりながら裏手一帯の竹藪に舞ひ狂ふのがきこえてゐた。
駄夫は変にモソモソして、何んだか妙に瞬ばかり為たいやうな気になりながら、階段に浮かぶ朦朧とした薄暗がりを吸ひ又吐いて静かな階下へ降りて来たら……