駄夫は大きく胸を張り又深々と肩を引いてヂッと首を空の一方へめぐらしたら、静かに擡げた首の彼方に、倉皇として低く走る大いなる雲を見たのであつた。
歌ふが如き心をもつて――彼は涯しない無気力をひろびろと目に得たのであつた。
暗い室内へ戻つて来たら、それでも与里の老いたる母は何時の間にやら駄夫のために階下の六畳へ食膳の支度を調へておいた。
駄夫は大きく胸を張り又深々と肩を引いてヂッと首を空の一方へめぐらしたら、静かに擡げた首の彼方に、倉皇として低く走る大いなる雲を見たのであつた。
歌ふが如き心をもつて――彼は涯しない無気力をひろびろと目に得たのであつた。
暗い室内へ戻つて来たら、それでも与里の老いたる母は何時の間にやら駄夫のために階下の六畳へ食膳の支度を調へておいた。