歌ふが如き心をもつて――彼は涯しない無気力をひろびろと目に得たのであつた。
暗い室内へ戻つて来たら、それでも与里の老いたる母は何時の間にやら駄夫のために階下の六畳へ食膳の支度を調へておいた。
そして其の老婦人はと言へば、已に又一年間も動かぬ人の面影をして、もとの場所にヂッと俯向いて坐つてゐた。
歌ふが如き心をもつて――彼は涯しない無気力をひろびろと目に得たのであつた。
暗い室内へ戻つて来たら、それでも与里の老いたる母は何時の間にやら駄夫のために階下の六畳へ食膳の支度を調へておいた。
そして其の老婦人はと言へば、已に又一年間も動かぬ人の面影をして、もとの場所にヂッと俯向いて坐つてゐた。