すると坐つた形のまま緩やかに方向を変へ、腰を折り両手を下ろし、雨漏りのする敷居の方へ延びて行くやうに躄りはじめたが――其処まで行けばわけないものを、三尺も手前の場所に動きを止めて、ガナガナと顫へる腕をやうやくに畳とすれすれに延しきり、辛うじて新聞紙に届かせることが出来たら、少しづつ滑らすやうに動かして、兎に角に紙の位置を一尺あまり動かすことが出来た。
成程そこは、つい先刻から漏りはじめて、長い間延びた間隔を置き、忘れた頃に丸い大きなつぶらな玉が一つづつポタリと落ちて弾いてゐた。
まだ真新しい至極小さな水溜りがいやにふつくら盛り上つてユラユラしながら、少しづつずらされて行く紙の陰に隠れてしまつた。