丁度ズボンをはき終つて、ボタンをはめてゐるところで、駄夫が斯ういふ姿勢のまま鋭く戸口を窺つてゐたら、痩せた頭が迫り出してきて次第に半身立ち現れたが、そのまま這ひ込むやうにして戸口の壁際に吸ひつき静かに坐つた。
勿論与里の母である。
登る時から畳ばかりを凝視めてゐて、険しく上から見守つてゐる駄夫の眼付は素知らぬ顔に、大変自由な物腰で静かに坐ると、膝の上なぞ直したりした。
丁度ズボンをはき終つて、ボタンをはめてゐるところで、駄夫が斯ういふ姿勢のまま鋭く戸口を窺つてゐたら、痩せた頭が迫り出してきて次第に半身立ち現れたが、そのまま這ひ込むやうにして戸口の壁際に吸ひつき静かに坐つた。
勿論与里の母である。
登る時から畳ばかりを凝視めてゐて、険しく上から見守つてゐる駄夫の眼付は素知らぬ顔に、大変自由な物腰で静かに坐ると、膝の上なぞ直したりした。