もし杖を倒したならば必定のこと泥まみれとなるであらうし、それに此の日は改めて方角を占ふ手数もいらなかつた。
――この辺一帯の畑の径はまだ新しく切り開かれたばかりであるから、この嵐には一とたまりもなく柔い泥濘となり、とても歩ける筈はあるまい。
それでも駄夫は、一応分岐路に立ち止り、頭上に当り欅の荒れ狂ふ音をききながら、ただ飄飄と嵐のみ吹き渡る広い武蔵野を見るともなしに覗いてみた。
もし杖を倒したならば必定のこと泥まみれとなるであらうし、それに此の日は改めて方角を占ふ手数もいらなかつた。
――この辺一帯の畑の径はまだ新しく切り開かれたばかりであるから、この嵐には一とたまりもなく柔い泥濘となり、とても歩ける筈はあるまい。
それでも駄夫は、一応分岐路に立ち止り、頭上に当り欅の荒れ狂ふ音をききながら、ただ飄飄と嵐のみ吹き渡る広い武蔵野を見るともなしに覗いてみた。